夢を見た。
君と見つめ合う俺。君は何故か悲しい顔で俺を見つめている。
『行ってしまわれるのですね』
君が言う。よく見ると君は見たことのない古風な格好をしている。昭和の…初め?みたいな。美しい姿。
『はい。命令が下りましたので』
俺は言う。俺であって俺でない俺が。見れば俺は何かの制服を着ている。制服…いや、これは軍服だ。
君は涙を堪えてそんな俺を見つめている。
『こんな身でなかったら…あなたについて参りますのに』
『そのようなことお父上がお許しになるはずもなく。いいえ、君。どうか悲しみの顔はよしてください。これは別れではないのです。私は、君の為に往くのです』
〝俺〟は君の手を取って、その甲にそっと唇を寄せた。
『どうか笑ってください。私は必ず帰ってきます』
『必ず』
『必ず…。また、必ずお会いしましょう』
そこで目が覚めた。何故か涙が頬を流れていった。なんでだろう。確か夢を…見ていたはず。
もう、思い出せない。
▼また会いましょう
11/13/2023, 1:38:16 PM