玲奈

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朝日の温もり

うるさく響く目覚まし時計の音で、いつものように重い瞼を持ち上げる11月の朝。
「曇った日の湖が好き。」
唐突に、あの日君が話した言葉が脳内で波打った。ゆっくりと揺れる灰色の湖を見ながら、そんなことを話す君の目は空っぽだった。
今日の空は、朝日が主役だから、きっと、君が湖に来ることはないんだろうな。
でも、窓辺に降り注ぐ小さな朝日は、君の手のように暖かくて。
いつものように重い瞼を持ち上げた11月の朝は、もう居ない君を探してしまった朝だった。

6/9/2023, 1:48:22 PM