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真っ白でしんと静まり返った世界にハルは居た。
手足の感覚を確かめながら、ハルが起き上がると
ハッと気づく。白の正体は雪だった。
だが、その雪は冷たくない。いや、冷たくないというよりは温度がないと言った方が正しそうだ。
音を確かめてみる。
「こんにちは。」
無機質な世界にハルの鼻にかかった声がこだまする。
どうやら、音はあるようだ。

パチンといった音と同時に
目の前に真っ白で小さく美しいきつねが現れた。
ハルが目を見開いていると
「そなたは、なぜ此処に来たのじゃ。」
と色なく問われた。
「……わからないわ。」
白狐は続けて言う。
「そなたは、わからねばならぬ。」
…?
「何をわからないといけないの?」
表情変えず、白狐は言う。
「そなたは、此処に来た意味を探さねばならぬ」
その言葉を言い残し、白狐は風と共に消えていった。



ハルは瞼をそっと閉じた。
そこには、あたたかで繊細な笑顔をしたあなたが居た。




「脳裏」

11/9/2023, 11:37:23 AM