「なぁ今度旅行にいかないか?」
こちらを伺いながらも幾分か弾んだ口ぶりに
僕は反射的に頷いた。
彼は僕の後ろの席に荷物を置きながらスマホを取り出す。
直に置かれた折りたたみ傘が机を濡らした。
彼は僕の反応に弾みをつけたのか、少し大きくなった声で
「見て。推しが旅のキャンペーンをするらしい。」
スマホの画面には、彼の好きな作家と旅行会社のコラボ企画が表示されていた。
「オリジナルストーリーがあるんだって」
彼の心底楽しそうな声をききながら、雲間から差す陽の光に目を細める。
推しが1番だと公言してはばからない彼。
それを隣で一緒に楽しめる幸福を噛み締めながら
「それは楽しみだな」
と零した。
(テーマ:今日の心模様)
4/30/2024, 12:56:15 PM