【もしも君が】
「もし、もしも君が、まだあいつの事信じるって言うなら、立場的には俺は、止めなきゃいけない」
「…」
「でも、君のあいつとの思い出を否定する事は、誰にもできないから」
「どんな答えを出しても、俺は応援するよ」
その日は雲ひとつ無い晴天で
澄んだ空気が、俺を置いて、遥か彼方へと駆け抜けて行った
「ありがとう、ございます」
「……今はゆっくり休んで」
「…はい」
もしも、もしも貴方が初めから、俺を使うつもりだったなら
俺はちゃんと、貴方の役に立ってから、捨てて貰えたんでしょうか
『東雲は、復職するって言ってる』
『ここには俺っていう前例があるし、あいつは優秀だ、ほぼ確実に戻って来れると思う』
『柊くん次第だけど、上に掛け合う用意はできてる』
『気持ちの整理がついてからでいいから、考えてみて』
ねえ、律さん
もしも、貴方がまだ俺を……
「っ、はは……そんなわけ、ねえのになあ…」
日の差し込む部屋の中で、自分にだけ
暗く濃い、影が差していた
6/14/2025, 3:05:31 PM