シャイロック

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星に願って

 私が中学生、5つ違いの妹が小学生の時、ニュースで大規模な流星群が見えると聞いて、通っていた小学校の校庭に行った。
 あの頃の学校は自由で、校庭など誰でも入れた。子どもたちは学校が終わっても、ずっと校庭で遊んでいたものだ。
 だがさすがに、深夜1時の校庭は静かだった。田舎なので、人通りはすっかり途絶え、今のように灯りが明るくないので、ボォっとした光があちこちに有るだけで、暗い。
 怖がりの私は、校庭に入ったとたんに、もう後悔していた。
「やっぱり帰ろう」
「えーなんで?流れ星見たいよ〜!」
「で、でも、こんなにたくさんのお星さま見たじゃん」
「流れ星見に来たんだよ」
「だってさ、真っ暗だよ、怖くない?」
「怖くないよ、お姉ちゃんと一緒だもん」
いや、そのお姉ちゃんがビビってるんだけどなぁ。
 オバケが出たらどうしよう。悪いおじさんが来たらどうしよう。空を見あげながら私は、『どうか怖いことが起こりませんように!』と、星に願っていた。

No.105

2/11/2025, 2:55:27 AM