金蝉子

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『時間よ止まれ』


今日で盆最終日、16日だ。そろそろ帰らなくちゃいけない。

空は真っ赤に染まって、鴉も
もう時間だ、というように鳴いている。


「どうしたの?」

「あ、そうだ!明日は川行こうぜ!」

「えー、この前も言ったじゃない」

「別にいいだろ〜」



周りの子達がそう口々に言い始め、私はハッとした。
明日にはもう居ないと、そう伝えなければならない。


のに、私はまだ彼女たちと遊んでいたいと思ってしまう。
こうして一緒に遊べたのもたまたま、次があるか分からないし。

何より、彼女たちは今まで私無しで遊んでいて、これからも……

彼女らからしたら、いつも遊んでいる中に一人増えただけかもしれない。
でも私からしてみれば、この思い出が後に一生残り続ける気さえする。

「さきちゃん?さきちゃんは明日どこで遊びたいの?」

「あっ、えっとね……それが…」





_______________


「「えーーーっ!」」

「明日にはおうちに帰っちゃうの?」


「うん、そうなんだ」

「学校明日からなの?」

「いや、そういう訳じゃないんだけど……」

「せっかくお友達になれたと思ったのに!」

「来年は?来年は来ないのか?」


「ぇっと……分かんない」


こんな友達なんかできたこともなかったし、日が暮れるまで外で遊んだこともなかった。

友ダチと一緒にスイカを食べたのも初めテだし


一緒二川で遊ンだのモ初めてダった



私が生キ◾︎たら……こレかラも一緒に遊べテタのかナぁ





私が◾︎◾︎で◾︎ら初めて◾︎お盆。


学校◾︎嫌いだったし、パ◾︎とママもあま◾︎好きではなか◾︎◾︎けど。

おばあちゃ◾︎◾︎優しくし◾︎くれたし、◾︎じいちゃんは沢◾︎◾︎◾︎でくれていた。





私の不注意さえなかったら、


川に溺れちゃうなんてこと無かったのに。







あ、おばあちゃんが呼んでいる気がする。

火をつけるんだね!


もっと一緒に沢山すごしたかったなぁ



私の体のように、こんな時間がずっと止まったままならいいのに。




あ、でもそうしたらおばあちゃんには会えないままになっちゃうね。





送ってくれてありがとう、おばあちゃん!
おじいちゃんとこっちで待ってるからね



9/20/2023, 7:35:40 AM