彼女は当時、光の英雄と呼ばれていた。
しかし、その英雄と戦ったことのある数少ない者から言わせてもらうと、彼女はそんな柔いものではなかった。
未来の悪の芽を確実に、そして圧倒的な力で潰すその姿は…そう、血の英雄という言葉が似合っていた。ちょうど、彼女の赤い赤い瞳の色だ。
そんなことを思うと、彼女とのやりとりが脳裏をよぎる。
「私が数多の人間を殺したから…殺すのね。随分と薄っぺらい…流石光の英雄様だわ」
「違うよ」
「いいえ違わないわ、私はそれしか罪を犯していないもの」
「いや、これから貴方はもっと殺人狂になるんだ」
「…そんな事分からないじゃ」
「分かるんだ
…私には分かる」
「…」
「でもだからこそね、私には他の未来も見えるの
貴方には1000年生きてもらう。そしてその先は…『光』だよ」
彼女の瞳の赤と、髪の金の光が混ざり合って光って、……
それから、1000年後。
10/16/2024, 2:50:33 PM