缶チューハイを3本。ストロング缶を1本。なんだか今日はやけに酔いが回るのが早かったらしい。
ふと、少し人肌恋しくなって衝動的に彼に連絡してみようと思った。
『暇してる?』
すぐに打って送信。ネットで知り合った彼は飲み友達で多分それなりに長い付き合いになる。
『暇だよ。どした』
『今飲んでる。付き合って』
それだけ送れば彼から電話がくる。
「もしもし。お疲れ様。俺明日久々の休みだから遅くまでは勘弁してよ」
「アタシ、あともう一本飲んだら終わるから」
「そう言っていつも何回戦してんだよ。いい加減その口癖直せよ笑」
「うるさいなー、いいから付き合え」
深夜零時。私たちは完璧に出来上がっていた。
「サケちゃんさ、彼氏とかいるの?」
「誰がサケちゃんだ!かれしぃ?…知ってどーすんのよぉ」
「良いじゃん、可愛い。俺がそう呼びたいの。気になるじゃん、サケちゃん可愛いからさ」
「ふざけん…」
「うわー、叫ばないで。鼓膜破れちゃう」
「鼓膜でもなんでも破ってやる…なんなのよ、彼氏いる?とか可愛いとか。こんな酒カスじゃなくて好きな子口説いてきなさいよ」
「だから口説いてんだけど」
「そうやってまた嘘つく。嘘はドロボーの始まりなんだよーばぁかばぁか」
「嘘じゃないし、サケちゃんよりバカじゃない」
「なんでそう言い切れるのよ、私はアンタより頭良いのに」
「サケちゃんさ、俺が酔ってるって思ってるでしょ。俺ノンアルだからずっとシラフだよ」
「しんじない!だって…だって」
「どうすれば信じてくれるの?教えてよ、サケちゃん」
「…今から会いに来て直接言って。じゃないと信じられない。前に1回だけ私を送ってくれたでしょ」
「うん、場所はわかってる。ちゃんと起きてろよ」
その後、約束通り彼は私の家に来てくれた。直接告白もしてくれた。そして…そのあとは皆さんのご想像にお任せします。けど、あの時のこと、私はきっと忘れない。忘れたくない。
題材「きっと忘れない」
8/20/2025, 1:23:27 PM