きっと、貴方の瞳もそうだった。
あの人の大きな手も、大好きだったその人の音も。
皆、みんな優しかった。
いつか戻ってくるのだと思っていた。
微笑みをうっすら浮かべて、前の様に。
優しく、包み込んでくれるのだと、思っていた。
錯覚していた。
ところが、ところが。
何時まで立っても、あの優しさが戻って来る事はありませんでした。
まぁ、分ってはいたんですよ、でも、でもね。
ほんの少し、一握りの可能性。
信じていなかった訳がなかった。
――嗚呼、空よ。
ワタシ達を見つめ、流れる者よ。
そんな憂いを帯びた様な顔をしないで下さい。
ワタシは貴方と同じ、周りに誰もおらず、愛されざる者
なのです。
貴方の気持ちが痛い程に良く分かります。
貴方の側に居ますから。
貴方は、この貴方と同じ、憂いを顔に浮かべた、愚かな
人間と一緒に居て下さい。
ほんの少し。一時の間で良いのです。
ワタシの側に、居て下さい。
2/25/2024, 1:57:24 PM