rororu

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『特別な夜』

何も浮かばないので創作します。

    特別な夜

それは突然だった。
何が起きたのか理解できず、皆、パニックになった。
わたしも例外ではなかった。

わたしは、真っ赤な画面のスマホを見つめたまま、どうにか起動しようと血眼になった。何が起きたのかわからず、ただただパニックだった。周りにいた人々も皆同じ様に慌てふためいていた。

この日、この時、世界中のスマホが同時に壊れたのだった。
タブレットやパソコンも全滅した。

テレビ番組はどの局も端末故障の特集になり、真っ赤な画面のスマホが映し出されていた。何かの陰謀か、はたまたサイバーテロか、と評論家たちが喚いている。
画面が真っ赤なのも謎らしいが、そんな事はどうでも良かったので、テレビを消した。

スマホのない世界は、不便と混乱の始まりだった。
「昔はなかったのだから、昔に戻ったつもりになればいい。」と、言う者もいたが、もう時代が違うのだ。スマホが前提の世の中だったのだから、昔に戻れるわけがない。

スマホが使えず、「夜って、こんなに長かったっけ?」と思うほど時間を持て余したわたしは、本棚から本を取り出した。かなり前に流行った小説だ。内容を覚えていないくらい昔に読んだ本だから都合が良かった。
真っ赤な表紙に『特別な夜』とタイトルが書かれている。

「あー、ある意味、今夜も特別かもね。」と、皮肉交じりに呟きながら本を開いた。

─おしまい─

1/21/2024, 3:06:28 PM