「あべこべの僕ら」

俺の名前は唯斗。
カナお嬢様の執事だ。
俺が13の時から雇ってもらいカナお嬢様と
〝あいつ〟と育ってきた。
俺は、恋してるらしい。カナお嬢様から聞いた。
カナお嬢様はとても優しく、相談にも乗ってくれた。

俺は執事という名を汚してしまいそう
俺は〝あいつ〟といると安心できる
俺はここにいて良いのか

嫌味も言わず、真剣に聞いてくれて嬉しかった。
〝あいつ〟とは誰か聞いてこなかった。

僕の名前は海里。
カナお嬢様の執事だ。
僕が13の時から雇わせてもらいカナお嬢様と
唯斗と育って来た。
僕と唯斗は仲がいい方だと思う。
まぁ、カナお嬢様が僕と唯斗しか執事を
雇っていないからだと思うが…

最近、よく唯斗とカナお嬢様が一緒に居るのを
よく見かける。僕は嬉しい半分、モヤモヤしていた。
こんな感情は初めてだ。
唯斗のことをもっと知りたいと思った。
もっと仲良くなりたいと思った。

『でも、唯斗はカナお嬢様が好きなんだ』
そう思っていたのに……

昨晩唯斗に呼ばれ、何かと思うと
「告白」というものだった。
初めてなもので僕も唯斗も変な感じだったけど、
とても嬉しかった。
これが「好き」という感情なのだと知り、
唯斗に返事をすると真っ赤な顔がさらに真っ赤になり
可愛いやつだなと思った。

いつも偉そうなのにこの時だけ子犬みたいで
そんな顔が忘れられない。

『偉そうだけど可愛い〝あいつ〟』
『クールで俺だけの特別な〝あいつ〟』

あべこべな俺らだが、だからこそ結ばれる。

これからもよろしくな！海里。
あぁ、よろしく。唯斗。

12/7/2024, 5:15:59 AM