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ダイエットについて( テーマ たまには)



「たまにはいいじゃん。」

 ダイエット中のはずの彼は言い、お菓子をバクバク食べた。

(この前もそう言ってた。)


「あなたのコレステロール値は悪化している。太っているようにも見えないので、体質でしょう。なので、今後は一生、この薬を毎日飲み続けてください。」

 そう言って医者から告げられた知り合いは、しばしば薬を飲むのをサボっている。

 彼の言い分も「一生飲み続けないといけないんだから、たまには、ね。」だ。



「1日練習を休んだら、取り返すのに2日かかるから」

 他方、スポーツに打ち込んでいる友人は、そうして雨の日もどこかで体を動かしている。

「習慣づけないといけないから」

 このアプリで、毎日欠かさずに文章を書いている人もいるでしょう。




 世の中のほとんどは、後者のように「欠かさずに習慣づけないと維持できないもの」ばかりなんだろう。

 だからダイエットした人はリバウンドするし、薬を飲まなくなった知り合いの健康状態は悪化した。

 しかし、多くの人は「これから一生〇〇してください」と言われると反発する。


 『一生歩行器を使って』と言われた祖母は、家の中では平気で杖も歩行器もなしで歩き、そして転んで骨折する。

 話がずれた。


 ダイエットも続かないし、スポーツもうまくならない人で世の中は溢れている。

 1つは諦めてしまうから。

 もう一つは「たまにはいい」と思ってしまうから。

 そして「たまに」の頻度は人によって違う。

 一年に一回?いやいや一ヶ月に一回?それとも、週に一回?


 それはすでに「サボることを習慣づけている」とも言える。

 そして、彼は一向に痩せないのだ。




 「そんなのロボットじゃん。」と言われそうだ。

 しかし、考えてみてほしい。

 『たまには信号や踏切を無視してみよう』とか『たまには町を裸で走り回ってみよう』とかやる人はほぼいないはずだ。

 ……いないよね?

 そして、信号を守るから、服を着ているから「お前はロボット」だとは言われない。

 つまり、人には『一生守るのが当たり前』のことと『そうでないこと』があるのだ。

 ダイエットも薬も、本来そうなのだろう。

 『 一生守るのが当たり前のこと』のグループに入れて、「 たまには」の活躍の場は別のグループに委ねる。

 即ち『守っても守らなくてもいいこと』のグループだ。


(まあ、そうは言っても美味しいものは食べたいんだけどね。)

 だから、世の中にはダイエット本が溢れているのだ。



3/5/2024, 10:24:45 PM