出来すぎた記憶
YOKAZEが流れる車内
座り慣れた助手席
次から次へと過ぎていく街灯
何も言わずにハンドルを握る人
私は静かに泣いていた
片手では足りなくなった都会の街
見慣れてしまったスカイツリー
こんな筈じゃなかったと最後に思ったのは
何度目の助手席だったか
ぼやける視界に映ったのは
緑の光を放つ出口の看板
ああ、また終わりが近づく
ゆっくりと瞼を閉じて
最後の涙を頬に落とす
赤信号に捕まったとき
隣に座る人の方を盗み見た
終わりの合図が
ハンドルを握る薬指で
いやに煌々としていた
こんな筈じゃなかったと最後に思ったのは
何度目の助手席だったか
最初から決まっていたことだと知っていても
都会に慣れることを選んだのは私なのに
8/7/2024, 12:45:27 PM