な子

Open App

旅の途中

まだ旅の途中だった。なのに、そいつは現れた。
「なんでって顔してるなぁ?」
そいつは笑った。フードを目深にかぶって顔は見えないが、俺にはわかった。
「時間切れだよ」
そいつは虚空を掴んだかと思うと、そこから大きな鎌を引っ張り出した。そして、間髪入れずに俺に振り下ろす。
逃げても無駄だった。俺はただ立ち尽くす。
グサッ。
痛みはない。
薄れていく意識の中、声が聞こえた。
そいつの、死神の笑い声だった。

1/31/2025, 8:36:51 PM