食欲の化身

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『わぁ!』

フォンダンショコラをご存知だろうか。
フランス生まれのチョコレートケーキで、「フォンダン」はフランス語で「溶ける」を意味する。
40年ほど前にフランスの料理界を代表するシェフ、ミシェル・ブラス氏が考案した「クーラン・オ・ショコラ」というチョコレートケーキがフォンダンショコラの原型と言われている。

フランス国旗が描かれた箱にお菓子と共に入れられていた解説書から目を離し、そのフォンダンショコラとやらを見つめる。
フランスの旅行土産に、と友人から貰ったその菓子は、6つ入りで、どれもケーキと言うにしては小さく、直径6cm程で、少し大きめの一口サイズだ。

こっくりとしたチョコレート色と白いパウダーのコントラストが美しい、見るからに高級そうなお菓子だ。
いったい1個いくらするのだろう…と思わず下衆なことを考えてしまう。いけない、いけない。

解説書の「美味しい食べ方」の欄に従い、電子レンジで少し温める。
勿体無いので2個だけ食べて残りは明日のために残しておくことにする。

電子レンジの作業完了を告げるベルの音にわくわくしながら少しだけ温まったそれを、お気に入りの白い皿の上に乗せる。


見れば見るほど可愛らしいフォンダンショコラを前にして、早く食べたい気持ちとこのまま保存しておきたい気持ちがいったりきたりする。
生憎このお菓子に合いそうなおしゃれなフォークは持ち合わせていないので、はしたないが手づかみで頂く。

親指と人差し指で挟んだフォンダンショコラは、想像していたよりも柔らかく、もう少し力を入れたらすぐに崩れてしまいそうだ。
一口でも簡単に食べられそうだが、ちょっと気取って二口で食べることにする。いただきまーす。

「んっ…!」

しっとりとしたなめらかなショコラ生地に歯を立てると、待ってましたとばかりに溢れてくる、とろりと生温かいチョコレート。

今にも溢れてしまいそうなそれを、慌てて口に含む。
チョコレートの濃厚な風味が口の中に広がる。

成程、「フォンダン」とはこう言う意味だったのか。
解説書の意味を、身をもって理解する。

口に入れたフォンダンショコラはチョコレートの香りを残しつつもいつの間にか消えている。
満足する気持ちと、少しの寂しさを感じる。
皿の上にはあと1つしか残っていない。
もういっそのこと全て食べてしまおうか。

鼻歌を歌いながら冷蔵庫から残りのフォンダンショコラが詰まった、フランス国旗の箱を取り出した。


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お久しぶりです、食欲の化身です。
約4ヶ月に書きました。文章が拙くてお恥ずかしいです。

今日のお菓子は「フォンダンショコラ」です。
フランス生まれのこのお菓子は意外にも最近になって誕生したものらしく、元はフランスの三ツ星レストランでデザートとして出されていたものなのだとか。
噛んだ瞬間チョコレートがとろっと溢れ出す…。
聞いているだけでお腹が空いてきますね(笑)
いつもの如く私は食べたことないので全て想像で書かせていただきました。なので物語中に出てくる味や感想は全て偽物です。皆さんは是非実際に食べてみて、本物の味を感じてみてくださいね。

1/27/2025, 7:18:15 AM