「突然の別れ」
声も出ない。時間の感覚がない。
呆然としたまま、その場に膝から崩れ落ちることしかできなかった。
「……ぁ」
やっと出てきた声は、とてもか細くて弱々しい。
嬉しいのか、はたまた驚きか、というよりも、それよりもその事実が信じられない。
後ろでドアが開く音がして振り返ると彼が居た。
私のことをとても白い目で見てくる。
「…」
「…それはどこで手に入れた。申せ。言え。早く。」
何も言わずにすぐさま回れ右して逃げた。
私は失念していた。そう言えば彼は吸血鬼だからその気になれば飛べることを。彼が吸血鬼の能力を忌み嫌い使わなかったことですんごい忘れていた。
数時間後、パチパチと火の燃える音がキッチンから聞こえてくる。それと啜り泣く声が。
せっかく見つけた彼の幼い頃の写真が……
5/19/2024, 10:23:48 AM