二人だけの秘密
放課後、屋上で空を眺めていたら、誰か来た。
「あれ、なにしてるの?」そう聞いてくる君は
僕の好きな人、でもある親友。
「んー、ちょっと空見てただけ」そう笑って言うと、なんだそれって笑って返してくれる君。
やっぱり好きだなーと思いつつも、気持ちが溢れてバレないように必死に抑える。
視線を君から運動場へ移すと、綺麗な景色が目に入ってくる。
屋上から見える景色、運動場で部活をしている生徒、街を走る車、色々視界に飛び込んでくる。
だけど、僕の後ろに立つ君は、僕の視界に入ることは無い。
ただ一点を見つめるようにボーッとした。
我に返ると、君は僕と同じ位置に立っていた、
驚いてバランスを崩した。
あ、これ、倒れちゃう、そう覚悟したが、痛みは来なかった。
「大丈夫?」声が聞こえて我に返ると、目の前に君の顔があった。
ドキッとした。体がフリーズして動けない、
しばらく静止したまま、沈黙が続いた。
「お前って、案外綺麗な顔してんな」
沈黙を破ったのは君だった。
突然言われたことに戸惑うも、君は僕に考える時間を与えない。
傍から見たら、ただの男子のじゃれ合いに過ぎない。悪ふざけに見えるのかもしれない。
でも違う、持っている感情が、好きならばそれはもう友達では無い。
目を合わすと、綺麗な瞳に吸い込まれてしまう。
必然的に目を瞑る、少し手が震えている。
夕焼けに照らされ、校舎の壁に映る影が重なっていた。
「これ、俺らだけの秘密な。」
5/4/2024, 1:25:10 PM