僕の中で安心材料にしていいのは餅だけだった。生まれた時から餅が隣にいてくれた。歳をとっても数多くの餅を食べたのを覚えている。一日に2切れは必ず食べていた。それもいろんな食べ方を試した。僕の冒険心を受け入れてくれるのは餅だけだ。だが就職後は正月にすら食べなくなってしまった。そんなある日。餅をうっかり「みち」と噛んでしまった。
一瞬で僕の安心は消えた。餅に支えられていた均衡が今外れた。自分がどこにいるのか分からないことを思い出した。これから僕はどうなるんだ。ここにいて正しいのか。何も知らない、何もかも分からない。分からなくなった。
1/25/2023, 10:39:03 AM