「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。机に突っ伏した状態で目を覚ました。ここは教室のようだ。電気がついていないし、誰もいない。もしかして、次の授業は移動教室だっただろうか。机の中から教科書とノート、筆記用具を取り出し、イスから立ち上がる。ふと窓の外を見ると、雲一つない青空が広がっていた。
「わあ、快晴だ…。今日の体育、長距離走で確定だな…。あー…やだなあ」
教室を出ると、廊下は静まり返っていた。まだ休み時間だと言うのに、話し声もしないし誰もいない。
「あれ、何で誰もいないの…?」
目的の教室に続く渡り廊下の扉が締め切られていた。鍵が掛けられているのか、引っ張ってもガタガタと揺れるだけで開かない。よく見ると、扉に張り紙が貼られている。
『本日快晴のため、通行禁止』
「は?」
快晴だから、通行禁止なんておかしい。むしろ、快晴だったら通行出来るはずだ。それにここを通らないと、移動教室の授業に行けない。
「えー…遅刻確定?それとも、もしかして今日は休日だったり?」
渋々引き返し自分の教室で待ったが、チャイムは鳴らず先生や他のクラスメイトが来る気配はない。
「なんだ、今日は休みだったんだ。じゃあ、帰ろ」
荷物をまとめ、カバンを持って正面玄関に向かう。下駄箱を見て、首を傾げる。
「あれ?皆、来てるじゃん」
下駄箱は皆の靴で埋まっている。上履きがないので、ちゃんと登校していると分かった。
「それに何で、ここ泥まみれなの?今日は快晴なのに」
正面玄関の床は、泥まみれの靴跡だらけになっていた。ここ最近、雨は降っていなかったはず。それに、靴跡は今しがた付けられたものらしい。
「まあ、いいや。帰ろっと…うん?」
玄関の扉にも、張り紙がある。
『本日快晴のため、通行禁止』
「ここもか…」
その後、外に通じる扉や窓を調べたが、どこも張り紙が貼られ、施錠されている。
「…人を探そう。人を探して聞いてみないと」
教室に戻ると、先ほどまで何も書かれていなかった黒板に文字が書いてある。上下反対に書いてあったので、やっと読めた。
「…快晴?」
訳が分からず、他の教室に向かった。人を探すが、誰もいない。どの教室の黒板にも、快晴が上下反対に書かれている。意味が分からない。ひたすら校内を声をかけながら歩き回るが、人の気配も返事もない。
「ドッキリなんでしょ?もういいから、出てきてよ…」
不安と恐怖でうろついていると、空き教室から歌が聞こえた。てるてる坊主の歌だ。楽しそうに歌詞の晴れの部分を雨に変えて歌っている。人だ!人に会えた喜びで空き教室の引き戸を思い切り開けた。
「明日、雨にしておくれ〜」
教室の中心に巨大なてるてる坊主が逆さに吊り下げられていた。てるてる坊主は真っ白なシーツで作られており、首と足首を縛られている。多分シーツが広がって中が見えたらいけないからだろう。楽しそうな歌声は人一人を包んだ真っ白なシーツの塊から聞こえた。
「下ろさなきゃ…」
机をてるてる坊主の近くに移動させると、縄を外せないか確認した。ぎっちり締まっていて無理そうだ。ため息をつき、机から降りる。何か切れるものはないかと探していると、背後からドサッと音がした。さっきのてるてる坊主が床に落ちている。
「だ、大丈夫?頭から落ちたけど…ねえ」
てるてる坊主のシーツをめくると、中には人はおらず、真っ黒で小さなてるてる坊主が大量に転がり落ちた。小さな悲鳴を上げると同時に、私の横を人の気配と雨の匂いが通り過ぎた。振り向くと、泥まみれの靴跡が廊下に続いている。正面玄関の靴跡の持ち主だ!追いかけると、正面玄関に続いており、開かなかった扉が開き切っていた。
「扉が開いてる…!」
外に出ると、待っていたかのように雨が降り始めた。

4/14/2026, 9:32:44 AM