最初に声をかけてきたのはあなただった。そこだけすっと光が差した。綺麗な花が咲き乱れ、世界を春風が吹き抜けた。過ごす時間が増えるほど、いつしか僕は自惚れていた。自分があなたに選ばれたのだと。酷いよずっと本音は隠して、いまさら苦しかったなんて。独り寝に耐えるベッドはまるで熱帯夜の再来。夜更けになっても朝日が差しても、下がる気配のない温度に焼かれて。終わらぬ夏の堂々巡りに、成す術もなく身を焦がす。 『ただいま、夏』
8/5/2025, 8:30:25 AM