湿った肺に
新鮮な風がふきこむような言葉をさがしている
紙飛行機を折るように
君のところまでとどくといいと思いながら
とりあえず飛ばしてみる
今日 ハクセキレイの雛が巣立っていったよ
ながい尾をふりふり 小さな足をけんめいに動かして
白い雲をかけ上がるように空へ吸い込まれていった
春にはタンポポでいっぱいだった公園に
今はアカツメクサが揺れている
どうかありふれたことを特別にする言葉を教えてほしい
文を書くひとは みんな魔法つかいみたいだと思う
そこにはなんだか
見えない理が はたらいているようでいて
僕にはあんまりよくわからない
紙飛行機の上手な折り方も 飛ばし方も
もしくは ほかの誰かのところへ とどくことではじめて
そこには魔法がやどるのかもしれない
さあ まるまった背中をのばして空をみてごらんよ
しぼんだ肺をふくらませて
野花のあんまり甘くない香りとか
幼鳥の和毛をあつめたような雲とか
君にふいている風に気づいてほしい
結局あんまりおもしろくはない僕の言葉に
君が魔法をかけてくれるように
とりあえず飛ばしてみる
僕が感じた風が 君にもとどけばいいとおもう
『つまらないことことでも』
8/4/2024, 11:05:48 AM