とある恋人たちの日常。

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 今日は休みを合わせて、彼女とドライブに来た。
 空気のいい場所に行きたいねという話でこの山に来たけれど、薄暗い雲があって天気に不安を覚える。
 
 坂を登り車を走らせていると、次第に霧の中に入り、視界が白いモヤに覆われた。そうこうしていると、ふわりと空気が変わって日差しが射し込む。
 
「うわっ」
「すごい」
 
 つい、ふたり同時に声を上げる。それもそのはず。さっきまでのモヤが抜けた先に雲ひとつない空は、まさに快晴。
 
「わあ、下が雲だ!」
「あ、じゃあ雲を抜けたんだ」
「なにそれ、すごーい!」
 
 さすがに俺は運転しているから下を覗き込むなんて出来ないけれど、頂上に着いたら下を見ようと思った。
 
 そして、頂上にある車を寄せて停められる場所に駐車場があるのでそこに停めて彼女と展望台に歩いていく。
 
「わぁ、空気も美味しいし、風が気持ちいいですね」
「そうだね」
 
 彼女に返事をしながら、俺は展望台の下を覗き込む。下の景色が雲に覆われて見られはしないけれど、見上げれば青い青い空が広がっていた。
 
 
 
おわり
 
 
 
三五二、青い青い
 

5/3/2025, 11:30:15 AM