未知亜

Open App

ユラユラとのぼっては消えていく泡の向こうで、君は黙っている。
氷はもうほとんど溶けてしまった。

いつも君のすることが、僕のしたかったことだと思わせられる恋だった。

ソーダ水を注文する声に
同じものを
と重ねると、
真似しないでよ
と君は小さく笑った。

同じタイミングで運ばれた同じ分量の炭酸は、今日も君の方がずっと早く飲み終わってしまう。

窓の外を眺めたまま、君が黙っている。

『ぬるい炭酸と無口な君』

8/4/2025, 6:58:52 AM