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【君と一緒に】

「きっと幸せになれないよ」

ひどく震える手を、自分の掌でそっと包み込んだ。冷たかった指先が、二人分の体温に染まっていく。

「なれるよ、一緒なら」

はく、と呼吸が止まる音がした。伏せられていた顔が、ゆっくりと上げられる。

「一緒に、いていいの?」
「いいよ」
「おれで、いいの?」
「…じゃなきゃ、嫌だよ」

見開かれた真っ黒な両目から、ぼろぼろと透明の雫が溢れては落ちていく。心の柔らかなところが剥がれていくのが、目に見えるようだった。

「おれも、いっしょが、いい」

初めて聞けた本音。胸にあたたかなものがこみ上げて、思わず目の前の体を引き寄せた。割れ物のように慎重に、壊してしまわないように抱きしめる。
世間体だとか、将来のことだとか、どうでもよかった。

今はただ、ただ、君と一緒に。




1/7/2026, 2:13:55 AM