『もう戻れない』
目の前には銀色のアタッシュケース。その中には鈍い光を持った銃が入っている。
数日前、黒いスーツを着た男が目の前に現れた。不審がる私にその男は「君の両親の知り合いだ」と名乗って、このアタッシュケースを渡してきたのだ。「君は運命から逃れられない」そう言ってその男は去っていった。
その後に両親の遺品を漁り、その組織のことを知った。…そして、両親がその組織に殺されたことも。
だから私は、その組織に入ることにした。両親の仇を取るために。
銃を手に取る。ズッシリとした重みが手に乗った。その重みに、これから待ち受ける現実に手が震えたが銃ごと強く握り、震えを抑える。
……これで私はもう元には戻れない。
目の端にとある写真が映った。近寄って手に取ってみる。そこには無邪気に笑う私と幼なじみの彼が写っていた。
脳裏に今までの思い出が蘇る。
「バイバイ…いい警察官になるんだよ……」
そう呟き、写真を伏せた。
【過ぎ去った日々】
3/9/2026, 1:58:04 PM