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10.バカみたい

 私たちは人体パフォーマンスを見に、遊園地へ向かった。

 ワクワクしている間に遊園地へ着くと、私はスマホを忘れたことに気づく。だが、家族と楽しむ以上、そんなものは必要なかった。

 ついに始まろうとしている。大勢の客が詰めかけ、期待が最骨頂に達したとき、ある1人の男性が登場した。棒のようなものに捕まり、身体を回転させている。まわりの民衆が歓声を上げたり、目を輝かせていたけれど、私はその演技の素晴らしさが微塵もわからなかった。ただ、肉の塊が重力に抵抗したり、しなかったりしているだけだ、と複雑な気持ちになった。

 彼の滑稽な姿は私の期待を冷ませ、民衆の心を釘付けにする。民衆が感動する理由も自分がなぜそれに感動できないのかも分からない。この場にいることを苦痛に思った。そうして、何の用事もないのに、少し離れた和式便所に足を運んだ。

3/22/2024, 10:26:35 AM