春の風に乗っかって、ふわりと漂う花の香りってのぁ、まるで昔の思い出をそっと撫でるみてぇなもんだ。忘れたくても忘れられねぇこと、心の奥にしまったまんまの気持ち、そういうのを一瞬で引っ張り出してきやがるんだよな。
桜の香りにゃ、散り際の切なさってもんが詰まってるし、藤の香りには、誰かを待ち続ける健気さが宿ってやがる。そう考えりゃ、花ってやつぁ、見た目だけじゃねぇ。香りにまで人の心を揺さぶる力を持ってやがるんだ。
ま、オイラはそんな繊細なこと言いつつも、鼻炎持ちだからな。花の香りどころか、くしゃみで全部吹っ飛んじまうけどよ。
…ったく、人生ってのはいつだって皮肉たっぷりだよなァ。
花の香りと共に
3/17/2025, 3:10:03 AM