8月、夏休みの真っ只中
この茹だるような暑さの中僕は清涼の地を見つけた。
君と、クリームソーダ。
君を見つけた。スカッとした風が僕の横を通って行った気がして少しヒンヤリした。喫茶店の窓から見える君に少し手を伸ばす。
窓越しの君は伏し目がちで良く似合うティースプーンを使ってクリームソーダを食べていた。
喫茶店のドアのベルを軽快に鳴らしながら清涼の地に入る。
君が見える席をとった。
君に気づかれたくて、少し目をやった。
雷が落ちたかのように目が合って、すぐ逸らした。
時計の針が静かな喫茶店にうるさく響く。
君の息遣いのひとつさえも聞こえてくる。
空気を切り裂くようにツンと鼻の奥に入ってきたコーヒーの香り。僕のテーブルに運ばれて、カランコロンと氷の音が心地よく聞こえる。
『8月、無口な君とクリームソーダ』
8/4/2025, 9:46:13 PM