「たまには外で遊んできなさい」
いつもおかしい教授が、今日は一段とおかしかった。常に研究室に入り浸っている当本人がそんな事を言った。
「と、言いますと?」
「『遊ぶ』という概念に制約は無いはずなのに、最近の子供はゲームをする事を『遊ぶ』と認識している」
ああ、確かに。言われてみればその通りだ。
「外で遊ぶ、には『遊び』をまず定義し、ルールを作成又は準用する必要がある。その際、"自由"な発想が求められる」
自由とは、何でも出来る事を意味するが、何をするかを決めるのもそれなりに労力がいる。
そうか、教授が言いたいのは───。
「"ゲームをする"は自由な「思考」を放棄していたって事ですよね。だから『たまには』自由の中で思考する必要性を問うていた、と。なるほど分かりました!」
ぼくは、急いで外に走り出した!
「……いや、君には外の空気を吸って来いぐらいの意味で言っただけなのだが。やれやれ、慌ただしい子だな」
3/5/2023, 10:31:40 PM