特別な夜
足跡で汚れた道は雨で綺麗に洗い流され
住宅街は人っ子ひとり歩いていない
自宅までの道のりを歩くこの数分間は
貸し切りの時間だ
蛍光灯の光
家からもれる光
信号機の点滅が
アスファルトに反射し
ネオンの光のように私を包み出迎える
注文は何にしようか
道端でメニューの光るボタンに指を這わせ悩む
たまにはちょっと高いものを頼もうか
ガコン
普段なら人目を気にして
はしたないとためらってしまうけど
今日は貸し切りだから
そう自分に言い聞かせて
盛大に甘やかしてしまおう
羞恥心が吹っ切れたと感じられた頃には
それは既に喉を通り空きっ腹を満たしていた
1/21/2024, 10:59:22 AM