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雲一つない澄んだ空は美しくて怖かった。夜の海のように色の差異のない画一的な自然。一色で統一されたような広大な自然はどこか飲まれそうに感じる。自分の身体も澄んでいってその一部に溶けてしまいそう。美しさはそんな怖さを持っている。

いつも浮かんでいて多種多様な雲。それが一つでもあれば邪魔だと思わせる一面の青が物語る。いずれは雲一つも消えてなくなって最終的には空のみになると。雲はその物語の過程の存在でしかないように感じさせられた。

空に心を奪われていると目の前にイチョウの葉が舞った。去年もこの道のこの時期に同じ光景を見たことを思い出した。廻っている。そんな些細なことからぼんやりと円を描くような時間を感じた。いつかの終わりを目指すような一直線ではない時間の流れを。思わず立ち止まって少し考える。もしかするとこの円環自体が終わりのあり方なのか。延々と同じことが続く。それが終わりを示しているのか。

目の前に散らばるイチョウの葉。その葉脈はすべて同じようで違っていた。ただ線が平行に並んでるだけのように見えて所々2つに分かれた線模様が葉ごとに違った場所にある。直線から枝分かれした変化が。統一の中の非統一が。この円環は差異を含んでいる。

10/18/2023, 4:14:48 PM