紫乙

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学生時代。

土埃で汚れた顔。
汗まみれの髪。
およそ女子とは言えない程、本気で追いかけた黄色いフェルト。

また今日も雨。
練習が出来ない事に苛立つ。
下級生や、レギュラー争いから離脱したメンバーは喜びの顔。

あーあ。。
練習したいね。いつまで続くのかな?梅雨。野球部が夏の大会始まる頃には、雨も止むよね。

そんな会話をして、窓の外を眺めていると、友達の彼が申し訳なさそうにやってきて、
『あ、、これ。お誕生日おめでとう』
紙袋を彼女に押し付けて去った。
ありがとうも言う暇もないくらいの速さで消えた。

『恥ずかしがり屋だからさ、いつもあーなんだよね。』
まるで熟練夫婦みたいに知り尽くした風。
開けて開けて!私は人のプレゼントにも興味を持って見たがる。

『え、、、これかよ。。』
え?
ガッカリな口調。

『なんで私がすでに持ってるの知ってるくせにまた同じのくれるんだよ。。ったく。。。』
え?知ってるの?
『知ってるよ!こないだ貸してあげたのよ。返して来たんだから、持ってるの知ってるさ。なのに。。。』

私には彼の間違いがわからなかった。
何故持ってる物をまた、更にわざわざ?

『思いやりがないんだよ。相手がなにを欲しいかとか、どんなものがあると便利とか、気にかけて見てればこんな事起きないと思う。あの人、私の事なんて好きじゃないからさ。梅雨時の誕生日なんて、余計滅入る。いつもこんなだもん。自分のは高額で、私のはメルカリだしね。愛情なんて感じないよ。』

そんな相手、やだな。
メルカリが悪いんじゃなくて。そんなとこで探されて思いやりないよね。
気持ちがないの感じるもん。
高い物よこせって言ってるわけじゃないけどさ。感じが悪いね。

思いやりない人って、言葉より行動見た方が良いよ。

6/2/2024, 5:00:49 AM