私、永遠の後輩こと高葉井の職場にも、年末の雰囲気が着々と近づいてきまして、
まさかの転職1年未満の私や私の先輩にも、ボーナスほどではないけど特別手当てがサプライズ支給されるっていう噂がチラホラ、なんとか。
「まぁ、詳しいことは当日まで待つことね」
職場の私立図書館のオネェ、多古副館長が、昼休みにニヨニヨしてココアを練ってる。
「ホントは館長からカンコーレー、箝口令が、申し訳程度に敷かれてるんだから」
私は今日の段階で支給額が決まってるなら、いさぎよく金額もろとも開示してほしいけど、
先輩はあんまりお金に執着してないのか、単純に今買いたいものが無いだけなのか、
特にボーナスの噂に反応せず、お茶を1杯。
それから先輩の隣にはバチクソにけわしい顔して目をつぶって、目頭を揉んでる推しのルー部長
『推しのルー部長』??
(突然きらめく私の心象街並み)
「電気設備のカモシカに目をやられた」
血中尊み成分が急上昇してる私に、部長が目をクシクシしながら説明してくれた。
どうやら、カモシカって呼び名の人が、どこぞの居住区域の照明を年末仕様にしてる最中らしい。
「今、敷設に向けての最終確認中だそうだ」
ルー部長が言った。
「で、あいつ、俺にその最終確認用のデカいジオラマを見せてきてだな。スイッチが複数付いてて」
そいつをカモシカ、一気にバンと5個6個。
部長はそう続けて、また目頭をクシクシ。
要するに、そのスイッチがジオラマの照明用で、
部長のガチの眼前に、もうドチャクソな光度だか光量だかの「きらめく街並み」が出現。
「酷い目に遭った」
部長はそれで、眩しくなっちゃって、仕事なんて状況じゃないからって時間給貰ってきて、
それで、昼休憩のこの職員室に潜り込み、一味振った味噌汁飲みつつ目を休めてたらしい。
ところで
先輩からの差し入れか
付烏月さんのイタズラか知らないけど
部長のテーブルにアントシアニンたっぷりそうなブルーベリージャムトーストが置いてあって
ジャムにもちょっと一味が振ってある。
ジャムに一味????
(未知のトッピング)
ジャムに????
(どよめく私の心象街並み)
「お前も、カモシカには気をつけろ」
部長は私の肩をポンポンして、まだ目頭をクシクシして、職員室から出ようとして、
やっぱりまだ少しジオラマの超ド級きらめき光度な街並みが地味に残ってるのか、結局戻ってきて、
ストン。開いてる席に座った。
私はルー部長が見たっていう、その超ド級を知らないから、何とも言えないしどうにもならない。
だけど部長のクシクシがカワイもとい尊いので、
ちょっと部長を見て、またちょっと部長を見て、更にバレない程度に部長を見て、
そのカモシカさんとかいう人の光量に思いを、
馳せようにも本当に分からないので、放っといた。
最終的に推しのルー部長は昼休憩終了後1〜2時間くらい職員室で休憩してたそうだった。
12/6/2025, 5:11:07 AM