行かないで
ねぇ お願い 行かないで 一人にしないで
そんな私の懇願を振り切って、あなたは部屋を出る
悪いな、俺はもう行かなきゃ
パタン、とドアの閉まる音がやけに大きく聞こえた
「っなんでっ…なんで帰っちゃうのよ!こんな量のデータ入力、一人で出来るワケないじゃないっ」
山と積まれた書類を睨み付ける。手は出さない、山崩れを起こされては敵わない。
ガチャリ、とドアが開く。
「言っとくが、締切日間違えて余裕ぶっこいてた、お前の自業自得だから」
顔を覗かせた同期に期待するも、声を掛ける間もなく、再びパタンとドアが閉まる。
「人でなしっ!」
お前はロクデナシだー、明日の朝、骨は拾ってやるわー
人気のない社内に同期の声が響き、完全に静まり返る。
10/24/2024, 3:17:46 PM