考えてる人

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 「ラララ」
 1人の少女が歌い出す。

 そうすると、最初は隣でポカンと口を開けていた少年も、そのメロディに乗せて歌い出す。
 窓から2人の歌声が聴こえてきたので、夕食の準備をしていたマダムが昔好きだった音楽に乗せ、歌い出す。
 通りがかりの旅人は、それらの音楽を聴いて歌い出す。
 旅人が引いていたロバも気持ちよく、その演奏に参加する。
 田畑で農作業をしていた農夫たちもハーモニーにつられ歌い出す。
 引退した文豪も窓から聴こえてくる村全体の音楽に、心が踊り歌い出す。

 「ラララ」
 1人の少女の始まりの歌が、村全体のハーモニーにつながっていった。
 

3/7/2025, 7:09:22 PM