長い長い間残暑を引きずった東京も、とうとう最低気温が10℃以下にせまる頃となりました。
最近最近の都内某所、某アパートにひとりで住む、雪国出身の藤森も、
ちょっと早めに、掛け布団等々の点検をして、テーブルタイプのコタツを設置しました。
ちゃんとクリーニングが為された布団はフカフカ。
最高級のさわり心地です。
「よし。これで良い」
ところで今回のお題は「friends」でして。
「こんばんはおじゃましますキツネいちばんのり」
「ダメだやい!おれだ!おれがいちばんのり!」
「おじゃまします、こんばんは……」
「もう、アンタたち!もちょっと行儀よくなさい」
藤森がコタツを出した途端、
藤森のアパートの近所にある、不思議な稲荷神社から、神社の一軒家に住まう稲荷子狐が訪問。
子狐のfriends、お友達と一緒に、
藤森のアパートのセキュリティーも、藤森の部屋のロックもお構い無しに、
とててトテテかしゃかしゃかしゃ、もふん!
コタツに突撃、さっそく秘密基地ごっこです。
というのも藤森は知らなかったのですが、
藤森が去年購入したそのコタツ、稲荷子狐のfriendsのひとり、子猫又の親が開いている雑貨屋さんから買ったものだったのです!
おかげで去年の11月、コタツを購入して設置して、すぐ、子狐と子狸と子猫又と、それから子カマイタチとに、占領されたのでした。
どうやら今年も友達引き連れて、モフモフ人外ズのフレンズが、コタツに集ったようです。
「こんばんは、その後、コタツの調子はいかが」
しっかりものの子猫又、どうやらアフターサービスのおはなしを、藤森に持ってきた様子。
「ああ、どうも、ご丁寧に」
子猫が言葉を話すのも、その子猫の尻尾が2本なのも、もはや藤森、気にしません。
このおはなしは、そういうモンです。
そういうのが出てくるし、そういうのが話します。
「やーい!やーい!おまえのととさん、イタチ!」
「あのな、追いかけっこしたいなら素直にな?」
「おまえのかかさんも、イタチ!」
「ホントのこと、そのまま言われてもな???」
かしゃかしゃかしゃ、かしゃかしゃかしゃ!
子狐は兄貴分の子カマイタチにちょっかい出して、コタツに入ったり、フローリングに出ていったり。
どうやら爪が、また伸びたようです。
カシャカシャ鳴っています。
藤森、子狐の爪を、整える必要がありそうです。
あるいは子狐のお母さんが、明日にでも子狐をサロンに連れてゆくことでしょう。
「あの、お茶と、茶菓子、どうぞ」
「どうも……」
真面目でおとなしい和菓子屋の子狸は、仕事のハナシを始める体勢の子猫又と藤森に、
お茶を出して、茶菓子を出して。
その茶菓子は、子狸が修行で作ったものでした。
「おら、追いついてみろ」
「やーやー!やーやー!まてぇ!」
キャッキャ、キャッキャ!
防音と防振のしっかり為された藤森のアパートで、
稲荷子狐とそのfriendsは、飛んだり跳ねたり、お仕事のハナシをしたり茶を淹れたり。
思う存分、やりたいことをやり尽くして、
「ばんごはん!ばんごはん!」
「晩ご飯!?」
まさかのお泊まり会まで、始めましたとさ。
「つくって」
「私が?」
「あ、タマネギとネギは抜いてちょうだい。
克服したから、食べられないこともないけど、あたし一応猫だから。あまり好かないの」
「はぁ……??」
「キツネわぎゅーのステーキがいい」
「あのな子狐……???」
10/21/2025, 6:33:20 AM