Nonexistent person

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心は透明で

俺も最初は透明な心を持っていた、多分俺の尊敬する人も、透明だった。いや、似て非なる透明さがあった。
俺は普通の家で普通の仲睦まじい両親に育てられてきた。その両親と仲のいい夫婦とその息子……俺の1歳下の子とも遊んで過ごしてた。
でも俺の尊敬する人は両親が医者だった。小さい頃から戦隊モノの本を読んで、そして医学の勉強をしていた。道端の蛙ですらあの人は使って解剖の勉強をしたり、1人しかいない妹の面倒を見て可愛がっていたとも言って。
俺たちは住む世界が違った。心の透明さも、何もかも、家族構成や地位も違う。
なんなら俺ら2人はあの人より汚れていた。
俺ら2人、それぞれいた両親は海に呑まれて消えた。
その後引き取ってくれた俺より下の息子さんの叔父は俺らに暴力を振るってきた。身体的、心理的、経済的虐待、ネグレクト。ずっとそれだった。
そんな俺らの前に来たのは古くから伝わる噂でずっと危険だとされた気弱な少年。
多分彼が1番の透明な心を持っている。
俺らはもう汚くなってたから手を差し伸べて話を聞くなんてしないで2人がかりでその子を虐めた。
今思えば本当に申し訳ない、でも今のそいつは笑いながらいいよだなんて語るから本当に当時の俺を殺したくて仕方が無くなった。
俺ら2人、何も知らない惨めで哀れで汚い子供だった。
いや、2人じゃない、少なくともあいつは違う。俺だけ。
当時気弱で虐められていた少年を助けたのは白い少年だった。
国際的に見ても世界で5本指に入る治安の良さ、そしてなんと言っても高水準の医療。そんな国で生まれ育った少年が、世界的にも消された国の白い少年が、俺の前に。
綺麗な心の少年は何故こんなにも堕落していくのだろうか。
行き着くのはゴミ捨て場、俺ら捨てられたいらない子。寂しいなら手を繋いで聖歌を歌おう、神に祈ろう。
いつかのシスターは言ってた。
神様にお祈りすると心は透明になって晴れやかな気持ちになるって。

5/21/2026, 10:03:06 AM