たやは

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クリスマスの過ごし方

小さい頃から病気の母の看病をしてきた。
小学5年生の時に、母はパーキンソン病だと言われた。始めは母も仕事をしていたが、徐々に体が思うように動かせなくなり、私が中学2年の時には、ほとんど寝たきりだった。食事も思うように取れず、胃ろうと言う管から流動食を体に入れていた。今でいうヤングケアラーだ。

母は流動食を管に繋ぐことで栄養を取っていたが、私はそういう訳にはいかない。自分で作るのも面倒だし味気ない。そんな時、近所でカフェをやっていた加奈子さんが声をかけてくれた。加奈子さんはカフェの傍ら、夕方からはお母さんの春子さと一緒にボランティアで子供食堂をやっていた。

「家においでよ。みんなで温かいご飯食べよ。みんなで食べると美味しいよ。」

加奈子さんは、近所の人からか学校からか、私がヤングケアラーであることを聞きいて、わざわさ家まで誘いにきてくれた。

「でも、母を置いて夜に家を離れることはできません。」

昼間は叔母さんが、母の様子を見にきてくれていた。しがし、寝たきりの母を残して夜に出かけたことはない。

「大丈夫。若い人でも特定の疾患の場合、介護保険が受けられるから、ケアマネジャー決めて、介護保険を申請をしてみよう。それでダメならほかの方法を考えればいい。あなた1人が背負わなくてもいいよ。」

加奈子さんの言葉に肩の力が抜けるような気がした。母の面倒をみるのは私だけだと決めつけていた。みんなが手伝ってくることが嬉しかった。
夕方からヘルパーさんに母の様子を見てもらい、私は加奈子さんと春子さん親子の運営する子供食堂に顔を出すようになった。  

春子さん作る手作りケーキやチキンを食べ、飾り付けされた部屋でみんなで過ごすクリスマス。
楽しかった。クリスマスがこんなに楽しいものだと始めて知った。忘れられない思い出だ。

加奈子さんから教わりながら、今は実家の1角で私が子供食堂をやっている。私のような思いをしている子供たちが少しでも笑顔で過ごせるようなお手伝いをしていきたいと思う。
加奈子さんからもらった心遣いを私が受け継ぎ、次の子供たちに繋げていきたい。

12/25/2024, 1:42:32 PM