君のバレバレな嘘に付き合うのは、これで何回目だろうか。
家に帰る途中に転んだ、と痛々しい血の跡を手や顔に残して、困ったような、誤魔化すような笑みを浮かべている君。
相変わらず嘘が下手だ。
いつもどおり綺麗なスーツの下は、もっと酷いことになっているんだろうね。
思わず出そうになった溜め息を引っ込めてから、ヨロヨロしている君を風呂場に押し込んだ。
傷が深そうなら病院に連れて行かないとな、と考えながらリビングに置いてある救急箱の中身を確認して。
ついでに下着も持っていってやろうと思い、寝室へ行こうとしてギョッとする。
通勤用で判らなかったが靴下まで血が染みていたらしい、今朝拭いたばかりの廊下に赤い足跡がベットリと付いていた。
テーマ「何でもないフリ」
12/12/2023, 4:12:27 AM