カシオペヤ

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どろだんごをピカピカにする事に一生懸命だった俺は、健が後ろに来たことに気付かなかった。

「よー」健の声にびっくりしてどろだんごを落としそうになった。硬くて綺麗などろだんごを。

「おー」俺は何事もなかったかのようにピカピカにする作業を続けた。

「俺さ」健は立ったまま言った。「真奈の事好きになっちゃった」

「知ってる」知ってたんだよそんな事は。いつも一緒にいるんだから。

「だと思った」健は笑った。そして、俺の隣に座った。「なぁ、ピカピカのどろだんごの作り方教えてくれよ」

校庭の端っこで俺達二人は、恋とどろだんごの事を話した。青い空は昨日と同じ色だった。

5/4/2024, 1:33:01 AM