文スト呟き 🕊🐀 🐀🕊

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『明日、もし世界が終わるとしたら
           何をして過ごしますか?』


急に投げられて来た問いに思わず困惑する


だって、現実主義の固まりみたいな彼がそんな事を

言うなんて想像もつかなかったから



「そうだね、何をして過ごそうかな」


そう言いつつ、ちらっと彼を盗み見る



何時も通り、窓辺の日が当たる場所で椅子に腰掛け

本を読んでいた


本当に何度見ても絵になる光景だと思う



彼の美貌は男女構わず魅了してしまうもので、

当然僕も惹かれている

然し、友人にそんな思考を悟られる訳にもいかず

ずっと隠していた



「君と、二人きりで」

言いかけて、ふと言葉を止める

これじゃあ彼に気があると言っているようなものだろう

視線を感じ、彼の方を見ると

紫水晶のような瞳が真っ直ぐ僕を見据えていた


『二人きりで、どうしたいのですか?』



貴方の事など分かりきっているのですよ、とでも

言いたそうなその顔に押され


「ただ、1日中一緒に居たいな」


と呟く



こうなると止まれないもので、

彼の元へ歩いて行っては腕を掴み、接吻をした


「僕、今迄言わなかったけど
            君が好きだったんだよ」


今の接吻だって、君に殺される覚悟でしたものだ


でも、まだ僕は生きている

じゃあ、君も…?



歯止めが聞かなくなり

雨のように接吻を降らす僕を咎めもせず、

ただじぃっと見つめるその顔には微かに微笑



『えぇ、知っていました。

 そして貴方が伝えてくれる日を待っていました』


満足そうに言うと、君は口の端を上げ

      普段見せないような柔い笑顔を見せた



ゴードス 🕊🐭

お題 : 明日世界が終わるなら

5/7/2024, 3:56:08 PM