『目が覚めるまでに』
まず聞こえてくるのは、君の息の音。
すうすうってまるで絵本に出てくる羊みたいな寝息をしているの。
ふんわりとした微睡みに包まれて私がその音色に聞き入っていると、決まって君は私をぎゅっとする。…お気に入りのぬいぐるみを抱え込んで離さないこどもみたい。そんな大きなこどもがどうにも可愛らしくて愛おしい。
だから、私は大人しく君のぬいぐるみになってあげるの。温かなお布団と君に挟まれて、少し熱いくらいだけれど。
でも、君はいつだって私の前では格好つけだから。目が覚めてぬいぐるみを抱きしめていることに気が付いたら、顔が真っ赤になっちゃうんじゃないかな。
だからね、もう少ししたらぬいぐるみはもうお終い。いつもの私に戻るの。
君の目が覚めるまでに。
8/3/2024, 1:36:50 PM