部屋に椅子がある
白い揺り椅子
私の椅子には私が座る
今日もピッタリフィットして
揺れてる
白くて丸いラグ
月みたいなラグに影が映る
私の影が
揺れてる
揺れに合わせて私は歌う
うみはひろいなおおきいな
つきはのぼるしひはしずむ
そう
こぼれ落ちたのは
月のかけら
次の欠片
かけらに紋様が浮かんでる
この紋所が目に入らぬか
入りますよ
九つの紋が見える
それは
かつていた人たち
かつてあった大地
その名残り
揺れる椅子
行ったり来たり
まるで海に浮かぶ船のよう
まるで空に浮かぶ船のよう
風が起こす音
声が起こす波紋
寄せては返す
満ちては欠ける
慣性の法則
体の中を満たす水
ただ揺れるがままに身を任す
そうしてついには
満ちるだけ
その法則を私はもう採用しない
欠けることなくただ満ちて
ついには溢れ出す
あとからあとから
ふんだんに
次から次へ
尽きることなく
溢れ出てくる
その全部を受け止める
すべて残らず受け止める
そうしてだんだん思い出す
もうそろそろ思い出す
自分の大きさ
サイズ感
デカいなんてもんじゃない
でももう止まるのは止める
あるがままの大きさに戻るまで
揺れる
揺れ続ける
9/30/2023, 2:06:57 PM