「不条理とフジッリって似てるよね」
「いや突然なに?」
春も間近の三月初旬、ボランティア部の活動として公園の草むしりを行っている最中、友人の石崎はぽつりと呟いた。黙々と目の前の草をぷちぷち千切っていたのがいきなり妙な事を言い出したので、つい俺も反応してしまった。高校に入って一年以上友人をやってきているが、こういう所は全くもって慣れない。
「語感もそうだけど、あの螺旋の感じが……」
「そもそもフジッリがわからん」
「パスタの仲間だったような? マカロニと似た感じの」
こんな感じ、と両手をドリルのようにゆるく絡める石崎にぬるい視線を送る。フジッリが何かは何となくは理解した。だが不条理との類似点は全くもって分からない。
「ソースの絡み具合が絶妙で俺フジッリすき」
本当になに言ってるんだこいつ。もう不条理関係なくない?
「なあ結局フジッリと不条理って何が似てる――」
「こら! 木下くん真面目に草むしりしないとダメ!」
顧問の先生から怒られた。しかも俺だけ。石崎はフジッリ話に飽きたのかまた黙々と草むしりを再開している。
不条理とフジッリの関係は分からないし、俺だけ注意されるし……ああもう! 不条理だ!
【不条理】
3/19/2023, 9:00:15 AM