カツンカツンと杖を頼りに1歩ずつ歩いてゆく。
見ると、どうやら右足が正しく使えていないようだった。季節はもうすっかり冬らしくなり、新雪がちろちろと降っている。杖を握る指が真っ赤に染まり、かじかんできたであろう頃、杖をついたその”少年”はふと立ち止まった。
いったいその足が正常に機能しなくなってからどれ程経ったのだろうか。杖の扱いには慣れているようであった。そう思っている間に少年はついと顔を上に向けた。その瞳孔は虚空を描いている。つられて私も上を向く。目の前に広がったのは、ぼんやり白みがかった青い空。
#大空
12/22/2023, 2:40:42 AM