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海へ


互いの気持ちはなんとなくわかり合っていた
けれど決定的な一言が足りない
微妙な関係のあなたと私

休みにはふたりでドライブや食事へ出かけた
周りからは付き合っているとみられることも

夏のあの日、食事のあとに夜の海へドライブ
いろんな話をしながら辿り着いたのは
彼の学生時代の思い出の海

駐車場に車を停めてきれいな星空を眺める
彼はルーフを開け運転席のシートを倒して空を眺める
私にも同じように倒して楽に空を見たら?と促してくれた

私がそこでどうしたかというと

「ううん、このままでもキレイに見えるよ」
と彼のさりげない私への誘いをサラッと流してしまったのである

なんの警戒心もなかったからこそ出てしまったのかもしれないけれど
今思えばなんというしくじり
もう少し何かに気づいていれば、違った今があったかもしれない

数カ月経ってからその時のことが二人の中で話題に

「あれは…もう兄のようにしか見られてないのかと思ったよ」と苦笑

その後少しだけご縁はあったものの離れてしまった

当時の私は自分への好意やキラキラしたものがやたら面映ゆく恥ずかしくて、素直に受け入れられなかった
現実の自分を晒すのが怖かったのかもしれない

「海へ」というお題がきっかけで蘇った
私の甘酸っぱく苦い思い出

今はどんな褒め言葉もお世辞も
「ありがとうございます!」と、受け入れることにしています(笑)

おばちゃんってラクよね

8/23/2024, 6:53:59 PM