:特別な存在
特別な存在、というと、真っ先に思い浮かぶ人がいる。その人は酒を片手に暗がりでへたり込んで項垂れしくしく泣いていて、僕がどうしたのと声をかけると「何でもないよ」と慈しみに溢れた笑みをこぼす。何でもないならじゃあ、と目を逸らすと、またしくしくと泣き出す。どうしたの、死なないで、と言うと「どうして?私が死んだら困るの?嫌なの?どうして?」と笑って尋ねてくる。
僕は未だその正しい答え方を探している。今更考えても手遅れで、無意味で、自責することで安心を得たいだけの、奇妙な自傷行為をしているのだ。
そういえば先日もこんな話を書いた。ああ、なるほど、あの人は僕の文章に多大なる影響を与えていたのか。
脳をえぐっている感覚がする。心臓にスプーンを突き刺して、回転させて、穴を開けているみたいだ。スプーンでオムライスをすくうみたいに。
暴力と支配こそ愛情だとどこかで期待している。そのほうが、幾分か飲み込める気がする。
3/23/2024, 8:04:25 PM