天蓋

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あぁもうこんな時間なのか。

腹時計が昼を知らせた頃、私はようやくペンを置いた。

親の反対を押し切ってまでなりたかった職業、漫画家。
原稿の締め切りが近い。にも関わらず、急ピッチで仕上げなければならない原稿があまりに多すぎる。

ふと伸びをした時1つの棚が目に入った。
吸い寄せられるように棚に近づき真ん中の段を開けると、そこには小学校の卒業制作で作った、であろう砂時計があった。

なにか時間を測りたかったわけじゃない。
けれどどうしてもひっくり返してみたくなった。

カタン、サァー、サァー。

たった5分。されど5分。


それだけでも砂の落ちる音が頭から離れない。

「砂時計」

10/17/2025, 11:49:50 AM