街を見下ろした。ここまで高い場所に来るのは初めてだった。ただ、ここに来れば、愛していた人の面影が、愛してくれていた人の面影が残っている気がした。
貴方が私に触れる度に、痣が増えた。貴方が私を抱きしめる度に、貴方への愛が深く重く貴方にのしかかった。貴方は私無しでは生きていられなくなっていた。だから、だから傍に居たのに。何が足りなかったの?
私がなにかした?酷すぎるよ。勝手に殴って、勝手に愛しておいて、勝手に死なないでよ。
今、私は、街の上に立っている足を、空へと踏み出した。
6/11/2024, 10:52:33 AM